2009 05.09 Sat 夜の散歩 ＣＡＴＥＧＯＲＹ ：久恒 ソウ

目的地を決めないのも難しいのでまずは近くにある中学校を目指す。

静まり返った校舎は大人になった今でも不気味に感じる。

非常灯の緑色が余計にそれを煽ってる気がする。

遊歩道で囲まれた中学校をぐるりと一周回る。

近いけれどぼくは通う事の無い学校。



ぼくの町は山を削って作られた町だ。

だから坂が多い。

というよりも坂ばかりだ。


中学校は丘のような場所に立っている。

なかなか良い景色。

しばらくそこでぼーっとしてみる。




ふと見ると長い階段がある。

次の目的地は決めずに行こう。



中学校から長い階段を下る。

下る途中の景色もなかなか良い。

階段は「コ」の字を交互に合わせたようにジグザクに作られている。

コの字の真ん中には街灯。

途中、街灯の１つは休憩中。

そこだけ暗い。



降りるとそこも遊歩道だった。

この町は遊歩道が多く作られている。



遊歩道沿いに歩くと今度は小学校があった。

この小学校に通うとしたら、さっきの長い階段を往復しなければならない。

降りた時点で忘れ物に気付いたら大変だ。


でも脚力は知らずに鍛えられるかもしれないな・・・。



・・・あ。


通う事はないんだった。




しばらく歩くと公園があった。

滑り台とブランコと砂場。

ベンチには灰皿が設置されている。

折角なのでタバコに火をつける。

もともと静かな町も深夜になればさらに静かになる。

聞こえるのはぼくが煙を吐く音だけ。

タバコを消してしばらく静寂に耳を傾ける。

何も聞こえないのもたまにはいいな。

ぼく以外の時間が止まってしまったように感じる。



自分まで止まってしまう気がしたので、ぼくは歩き出した。

自分の足音を聞きながら。



遊歩道沿いに急な上り坂。

これで戻れるらしい。

急なので少々息が切れる。

体力ないな・・・。

上りきった景色は悪くない。

しばらくその景色を見ている事にした。

つまり疲れたから休憩する事にした。


体力をつけるために深夜の小学校に通うのも悪くないかもしれない。



上りきったそこも遊歩道だ。

また公園がある。

この町は公園が多い。


遊歩道を抜けると初めの目的地に帰ってきた。

今日はもう帰ろう。


でも、行きとは違う道で。



坂と遊歩道と公園が多い静かな町。

ぼくは結構、この町が好きかもしれない。








今回の散歩に目的はあるけど目的地はなかった。




けど、今ぼくがいる道には目的も目的地もある。




だからもっと、しっかりと、



ぼくは、歩かなくちゃいけないな。








さて、


次は目的地を決めて、


特に目的も無く散歩してみよう。